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読書録K

読んだ本やみた映画

夢を売る男―「トランプ TRUMP REVEALD」

ノンフィクション

 

トランプ

トランプ

 

  不動産でもなく、カネでもなく、彼が持っているものはヴィジョンというか、目の前の人に夢を見させる力なんだろう。読み進めるうちにそう感じてくる。帯の触れ込みが、まさしく本書の要約でもあった。「国盗り物語の全貌」。

 

 ビジネスで、最初は大言壮語、トランプの語り口にしてみれば「はったり」をかまして、それを現実にしていく様が詳細に書かれている。トランプタワー建設もカジノ事業も、そもそも資産や強力な土台があったわけではない。ただ相対する役所や出資者に、上手に「うまくいってる感」を見せていき、結果的に最高の青写真を手にした。次に売り出すのも実績よりも新たなはったり。だから、本当の所は一部のホテル事業やサプリメント事業で失敗しているのに、それを取捨選択できる(本人はライセンスを貸しただけで自分の失敗でないと語るかもしれない)

 

 プロセス自体は、今回の大統領選で勝利した経過と同じなのかも。トランプ流の勝利の方程式。だから、メキシコ国境に壁を築くとか、在留米軍の負担は各国持ちだとか、叶うことはないかもしれないというのは、支持者にとって前提の可能性もある。夢を見させてくれる。熱狂させてくれる。そしてそのうち、多少は実現する。バラ色の未来を与えられるよりも、一緒にサクセスしていけるような実感がほしかったんだろうか。

 

 読後にトランプへ好意を持ってしまうのは、なんだかんだ戦法が持たざる者のやり方に感じるから。もちろん父親も大変な資産家だったけれど、ビジネスへ向ける野心は身の丈以上で、だからこそはったりを用いた。離婚騒動などのスキャンダルも知名度アップに利用したけれど、どうやら「家族のことはばかにするな」という姿勢だったようだ。本当なら、裸一貫なわけで、それは「政府に見捨てられた」と感じている人々には受けるだろうな、と思った。