読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「演劇」ではなく「劇場」だった理由を思う―「劇場」

芸人であり作家の又吉直樹さんの二作目。「劇場」のタイトル通り、東京を舞台に、舞台演劇の演出家・永田と、学校に通いながら役者もする沙希を軸に物語が進む。読み始めて止まらないのとは反対で、何度も、何度も立ち止まって本を閉じてしまう一冊だった。…

アニメ版を知らずに観た「美女と野獣」で感動した

「美女と野獣」を映画館で観た。本家のディズニーアニメをこれまで一度も観たことがなく、実写化の再現性がどうなのか、もともとの世界観の通りなのか、ストーリーに違いがあるのかは一切分からないけれど、ただただ感動した。あまりに有名な内容なんだろう…

骨は見えないー「骨を彩る」

淡い黄色のイチョウが舞う表紙に心ひかれた。作者・彩瀬まるさんが、住野よるさんの「よるのばけもの」の書評を週刊文春に書かれていて、なんとなく優しい人だなと感じたのも、本作「骨を彩る」を手に取るきっかけになった。表紙のように儚く、そっと手を触…

未知への向き合い方―「星を継ぐもの」

地球から離れた月面で、いるはずのない5万年前の「人間」の遺体が見つかった。どこから来たのか、我々地球人と同じなのか?―。本書「星を継ぐもの」は壮大な謎に遭遇する物語であり、その未知への向き合い方を教えてくれる作品だ。

GWも仕事でへとへとな人に薦めるNetflix映画5選

今週のお題「ゴールデンウィーク2017」仕事でへとへとになっていると、ゴールデン・ウィークも何もない。人によっては連休のどこかで、溜まったタスクを片付けに行っていらっしゃるだろうか。しかもあと3日しか残ってねえや。そんな方が、つかの間、心をリ…

狂っていく最中に狂っているとは気付けない―「成功者K」

芥川賞を獲得した男性小説家Kは一夜にして「成功者」となった―。本書「成功者K」のあらすじだけを見ると、著者羽田圭介さんの私小説に思えて仕方がない。これが作品の最大のスパイスになっている。Kは成功を機に、ファンの女の子をとっかえひっかえにして…