読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「逃げ恥」以外ー読書感想「『ファミリーラブストーリー』」(樋口卓治)

人気漫画&ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」に感動したものの、「こんなにうまくいくものなの?」と疑問が浮かんだ方に、樋口卓治さんの小説「『ファミリーラブストーリー』」を薦めたい。逃げ恥は、「契約結婚」から始まり、真実の愛を見つけた。本書は真…

日本企業版「失敗の本質」ー読書感想「東芝解体 電機メーカーが消える日」(大西康之)

日本国内の総合電機メーカーの興亡を構造的に解き明かす日本企業版「失敗の本質」が、本書「東芝解体 電機メーカーが消える日」だ。 第二次世界大戦で敗北した日本の組織論をモチーフにしていることは、著者の大西康之さんも「おわりに」で自認している。 元…

どう見えるかの時代ー読書感想「晩夏の墜落」(ノア・ホーリー)

いつから事実よりも「事実らしく見えるか」が大事になってしまったんだ?ー本作「晩夏の墜落」は、「メディア王が乗ったプライベートジェットの墜落と、唯一の生存者」というスリリングなストーリー展開の中に、この骨太のテーマが芯として通っている。だか…

ファシズム前夜にできることー読書感想「暴政」(ティモシー・スナイダー)

ポスト・トゥルースの時代であり、ポピュリズムの足音が聞こえる「いま」を、ナチスドイツや共産主義が大量虐殺と大戦争を生んだ「あの頃」と比べ、教訓を得る一冊が本書「暴政」だ。著者のイエール大教授ティモシー・スナイダー氏は、「ブラッドランド」な…

努力の二重効果ー読書感想「GRIT やり抜く力」(アンジェラ・ダックワース)

成功のために重要なのは努力か才能か、永遠の論争に「努力の二重効果」という視点で挑む好著だ。本書のタイトルである「GRIT」は副題の通り「やり抜く力」、すなわち「努力を継続する力」を指し、著者のアンジェラ・ダックワースさんは、心理学の中でもグリ…

つかめ「食のスカウター」ー読書感想「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」(Testosterone)

「どれだけいい運動も、悪い食習慣は倒せない」という理念の元「最強の食べ方」を学び、最高に健康になる方法を教授してくれる一冊だ。本書「筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方」の作者Testosterone(テストステロン)さんは110キロから4…

何度でもローンチせよー読書感想「エアビーアンドビー ストーリー」(リー・ギャラガー)

たった3人で始めたスタートアップが世界を驚かすまで成長したのは「失敗したら何度でもローンチ(出発)すること」を徹底したからだった。フォーチュン誌のエディターであるリー・ギャラガーさんが取材した「エアビーアンドビーストーリー」(関美和さん訳)…

永遠の山登りを楽しむー読書感想「仕事人生のリセットボタン」(為末大/中原淳)

ランナーでありツイッターなどで発信される言葉もユニークな為末大さんと、「学び」や人材開発の専門知識を洒脱に伝えてくれる研究者・中原淳さんが、「右肩上がりのエスカレーターのないこの時代にどう働き、どう生きるか」を考える一冊。本書「仕事人生の…

最後にバッタ愛が勝つー読書感想「バッタを倒しにアフリカへ」(前野ウルド浩太郎)

「バッタに食べられたい」というクレイジーな夢を持つ昆虫学者、前野ウルド浩太郎さんが、バッタへの深すぎる愛であらゆる困難を超えていくノンフィクションが本書「バッタを倒しにアフリカへ」だ。困難とは、まじで現実的で胃が痛くなるものばかりだ。ポス…