読書熊録

本に出会う歓びを、誰かと共有したい書評ブログ

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ABTの三文字が伝え方を劇的に変えるー読書感想「なぜ科学はストーリーを必要としているのか」(ランディ・オルソン)

上手に伝えるために必要なことはたった1つ、ストーリーを学ぶことだ。 自分を含め多くの人が、うまく伝えられずに悩んでいる。伝えるべきことはたくさん思いつくのに、その十分の一すら伝えられていない。だけど、世の中には伝えるプロがいる。それがハリウ…

ジャージの君へー読書感想「ナナメの夕暮れ」(若林正恭)

この本は「人生」という試合の舞台になかなか乗っかれない人のためにある。思い通り試合を運べないとか、勝てないとか、そんなレベルじゃなくて。そもそもユニフォームを着られずに、ジャージ姿で舞台の脇に立ちすくんでいる人のためにある。お笑いコンビ・…

私の過去が全部違ってもそれは愛ですかー読書感想「ある男」(平野啓一郎)

愛した人の過去が全部「別人のもの」でも、その愛は愛ですか。私たちは人の「何を」愛しているんですか。小説「ある男」は、愛している瞬間は疑うことのない愛の根本について、問い掛けてくる。 作者の平野啓一郎さんは「マチネの終わりに」でも「愛と時間」…

ベルリンに学ぼうー読書感想「ベルリン・都市・未来」(武邑光裕)

日本は壁にぶちあたっている。戦後、エコノミックに驚異的な成長を遂げた後、直面した高齢化社会に未来を描ききれないでいる。一方で、日本と同様に敗戦を経験したある場所が、いまや最先端都市として興隆している。それが、ドイツの首都ベルリン。なぜベル…